2005年2月19日(土)
中澤酒造見学会

去年四十八瀬川自然村で育て収穫したお米でお酒を作ってもらっています中澤酒造の酒蔵見学に行ってきました。

■ 雨のなか、中澤酒造へ

生憎の雨でしたが、総勢約20名、小田急線新松田駅に集合し、そこから歩いて中澤酒造に向かいました。
仰ぎ見る松田山はピンク色に染まり、桜祭りが開催されており、商店街もあちこちに河津桜が飾られていました。
天候にもかかわらず皆さんの足取りが軽く感じたのは、試飲ができると言う理由でしょうか?

■ ここが中澤酒造です

見るからに歴史がありそうな建物です。文政六年の創業で、小田原藩の御用商人だったそうです。なるほど、納得、という感じの店構えです。そしてこの奥に酒蔵があります。


中澤酒造のお酒の名前は「松美酉(まつみどり)」です。小田原藩主より賜った、松田周辺の景勝にちなんだ名前だそうです。
建物の横には新松田駅からも見える大きなケヤキの木があります。酒造の長い歴史を物語っています。


酒蔵と言えば杉玉。玄関先や蔵の前に杉玉が飾ってありました。
三輪神社の御神木が杉だったため、新酒が出来たことをお祝するために杉玉を作ったのが由来だと伺いました。

■ 見学会の始まりです

靴を履き替えて、蔵の中で酒造りを説明していただきました。蔵の中は薄暗く、触れたことのない機械や道具があちらこちらに置いてあり、「夏子の酒」を思い出してしまいました。

米の出来は毎年違い、米の状況で作り方(水分・温度・時間など)を変えなければならないそうです。酒造りは毎年同じ様には出来ず、経験がものを言う世界なんだそうです。でも、酒造りをするのは11月から2月までの正味4か月間。単純に言えば3年やって普通の仕事の1年分の経験しか出来ないと言うことになります。
蔵に10年いないと酒造りは分からない、のだそうです。

中澤酒造の杜氏は南部杜氏が担っています。そんな大変な職業ですから、後継者問題が重大な問題になっているのだそうです。いつまでも、日本酒の伝統と味が引き継がれて行って欲しいものです。

■ これからお酒になります

精米はお米の外側にあるタンパク質などを含む部分を削って中心にあるデンプンのところだけを残す作業です。
玄米は15〜16%の水分を含んでいまが、精米すると水分が減ります。そのため、洗う(糠を落とす)とすぐに吸水するため、米を洗う時間を7分とか8分に決めておいて洗います。洗う時間は米の種類により決めています。

■ 蒸米

洗米した翌日、お米をこしきで60分間蒸します。その後、種麹が振り掛けられ発酵が始まります。
洗米してから酒母(純粋に培養された酵母)造りに15日から18日かかります。その間に3回に分けて水を入れます(3段仕込み)。これは、酵母が一番活発に生育するためにそうしているそうです。酵母の生育条件が科学的に解明される前からこの方法が取られていたのです。これも経験の為せる技、なのでしょう。
その後、もろみが出来上がるのに22〜30日。お米を洗ってからお酒になるまで大体50日かかります。

■室(むろ)

酒蔵の映像で、よく男の人が上半身裸で写っている所がここです。カビがもっとも繁殖しやすい温度な(30〜32℃)に調整されています。2日間かけて一つの麹が作られます。
酒造りは、1麹(こうじ)、2もと(酉に元)、3造り、と言われるくらい、麹づくりが大切なものなんだそうです。そんな重要な場所だからしめ縄が見えるのですね。

中澤酒造では、麹づくりは昔ながらの方法で行なわれています。前回の改築の時、機械を入れるかどうかで悩まれたそうですが、あえて昔の方法を採用したそうです。

■ お酒のタンク

タンクは2000Lと6800Lの2種類があります。2000Lのタンクは吟醸酒や純米酒を仕込みます。酵母の出す熱をコントロールしやすいのですが、コストがかかります。逆に6800Lのタンクは熱のコントロールは難しいのですが、製造コストを押さえることが出来ます。自然村の五百万石は2000Lタンクで仕込んでいただいています。

四十八瀬川自然村が中澤酒造に納めたお米は1500kg、60%精米して620kg、これを仕込むと大体1,200リットルのお酒が出来て300kg位の酒粕が残ります。お酒になるのは納めた米の何と約5分の1(320kg)! お酒は有り難く頂戴しないといけないですね

■ 酒しぼりの槽(ふね)

発酵タンクで造られたもろみがこの槽でしぼられると、いよいよお酒の姿が現れます。
一番最初に、圧力をかける前に自重で出てくるお酒をあらばしりと言います。槽では2日間かけてゆっくり押され、酒と酒粕に分けられます。こうやって時間をかけるのはお酒に負担をかけないためだそうです。
時間と労力をかけて美味しいお酒が出来上がるのですね。

■ これが四十八瀬川自然村の五百万石です

一番左の一番長い(草丈が高い)のが五百万石です。四十八瀬川自然村の田んぼで今年取れたお米です。
(草丈がわかるように、穂や茎、根を含めて展示されています。根が上に、穂が下になっています。)

■ 試飲会

見学会の最後に、試飲会をしました。これが目的だった人が多かったかも?
工場直送のお酒を、蔵を改造した会場で頂きました。吟醸酒や濁り酒、純米酒等一通り頂き、かなりいい気分になってしまいました。甘酒もふるまわれ、癖がなく、ほっとするお味でした。



中澤酒造様、美味しいお酒を有り難うございました。自然村の五百万石がどんなお酒になるのか、楽しみです!!

【A記、写真も】


更新:
2005年3月8日 23:42:00